2026.03.20
あの子の沈黙
夜の街を歩いていると、
言葉をほとんど話さない
子どもに出会うことがあります。
声をかけても、
うなずくだけ。
何かを聞いても、
小さく首を振るだけ。
ある夜、
駅の近くの広場で
一人の子どもに出会いました。
まだ高校生くらいでした。
声をかけると、こちらを見ましたが、
何も言いませんでした。
寒い夜でした。
私は、その子のそばに立ち、
しばらく、同じ場所にいました。
何も話さず、
ただ同じ時間を過ごしました。
やがてその子は、小さく頭を下げ、
何も言わないまま歩いていきました。
子どもたちは、言葉にできない思いを抱えていることがあります。
言葉にすると、壊れてしまいそうな思いもあるのだと思います。
あの子が、何を抱えていたのか、
それは、今でもわかりません。
けれど、あの夜の沈黙は、
私の中に残り続けています。
今夜もまた、夜の街を歩いています。
