夜回り先生 水谷 修
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Osamu Mizutani Official BLOG

30年前の思い出

今日、ネットで私の関連の記事を見ていたら、一つの記事が目に入りました。そして、ある思い出がよみがえりました。(水谷修で検索していただければ、すぐに見つかります)

 

 

日本の精神科医の中で私が最も信頼している医師の一人、松本俊彦医師の記事でした。

 

ちょうど30年前だったと思います。その日も夜回りを続け、男女4人のシンナーを濫用し、らりっている子どもたちを保護しました。

 

我が家につれかえり、何とか水分を与え仮眠させ、朝一で、神奈川県立精神医療センター芹が谷病院に連れて行きました。そして、その駐車場で松本先生が来るのを待ちました。

 

松本先生が来るとすぐに、「松本先生、この四人、見てやってください。よろしくお願いします」松本先生が、驚いた顔で私を見つめてくれたことを思い出しました。

 

この記事には、そのことが書かれていました。

 

薬物乱用は、薬物依存症という病に陥ります。これは、愛の力や罰の力ではどうしようもないものです。病なのですから、専門医師の治療が必要です。

 

私は、その時すでに、一人の少年の死で悟っていました。

 

その時、松本医師の所に連れて行った四人。一人は、濫用を続けいのちを失いました。一人は、薬物の種類を変えていまだに精神科薬の依存症で苦しんでいます。あとの二人は、今は、幸せな人生を送っています。

 

私は、想います。子どもたちがこうなる前に、きちんと薬物の真の姿を知っていたら。いのちの大切さを学んでいたら。彼らを心配する大人がいることに気づいたいたらと。

 

私は、そのためにこのクラウドファンディングをはじめました。

 

一人でも多くの子どもたちを、夜の世界に行かせないために。

 

まだまだ、クラウドファンディングの先が見えません。

 

ご支援よろしくお願いいたします。

今夜も仕事が始まりました

夜12時を過ぎると、電話とメールが増えていきます。

 

電話に出ても、ただ無言のまま、何も語らない子どもたち。

私は、電話を握りしめ、待ち続けます。

「死にたい」その一言が、聞こえてきます。

 

今も届くメール。その多くには、「消えたい」

 

そんな合間に今プログを書いています。

 

「死にたい」、「消えたい」

そう語る子どもたちにいつも語り続けます。

 

「何で私に相談してくれたの。それは、生きたいからでしょう」と。

 

私は、どれだけの「死にたい」、「消えたい」のことばを聞き続けてきたのでしょうか。

 

そんな中、嬉しいメールも届きます。

かつて関わった子どもたちから。

 

「生きてて良かった」、「今は幸せです」

 

このことばに励まされ、今夜も、つらい時間を過ごします。

 

一つのいのちも失わないように。

はじまりの四月

4月になりました。

 

新しい季節です。

 

環境が変わる子どもたちも、

たくさんいます。

 

楽しみな気持ちと、

少しの不安。

 

その両方を抱えながら、

新しい一歩を踏み出しています。

 

そんな時期だからこそ、

思い出す顔があります。

 

春が苦手だった子どもたち。

笑えなかった子。

学校へ行けなかった子。

 

それでも、

少しずつ前を向こうとしていた。

 

あの姿を、忘れません。

 

私も、もう一度前へ。

救えなかった夜

夜回りをしていると、

忘れられない夜があります。

 

直接出会った子どもだけではありません。

メールやSNSで、

相談をしてくる子どもたちもいます。

 

「つらいです」

「消えたいです」

そんな言葉が届きます。

 

やり取りを続けながら、

何とかつなぎとめようとします。

 

でも、

間に合わないことがあります。

 

あとから、

その子のことを知ることがあります。

薬を飲んでしまったこと。

オーバードーズだったこと。

 

あのとき、

別の言葉をかけていたら。

もっと早く気づけていたら。

そう思うこともあります。

 

けれど、

時間は戻りません。

 

夜回りは、

すべてを救える活動ではありません。

 

それでも、

あのとき届いた言葉は、

今も心に残っています。

 

救えなかった夜は、

忘れることはできません。

 

そしてその記憶が、

次の夜へと足を向かわせます。

 

同じ夜が、

今もどこかで続いています

私が最も子どもたちに言ったことば

私が、夜の世界の子どもたちに最も言ったことばは、「いいんだよ」

 

夜の世界の子どもたちは、昼の世界、家庭や学校に居場所をなくした子どもたちです。

 

いつも、「だめだよ」、「なにやってるの」と、昼の世界では否定され続け、偽りと嘘に満ちた夜の世界に最後の救いを求めている子どもたちです。

 

夜の街で、私が、「いいんだよ。今までのことは。よく生き残ったね」と声をかけると、ほとんどの子どもたちが、驚いた顔をし、そのあと涙を流します。

 

当たり前です。昼の世界では、いつも否定され続けてきて、ほとんど認めてもらったことがないのですから。

 

リストカットやODをしている子どもたちからの相談で、私が、「リストカットしてきて良かったね。ODしてきて良かったね。いいんだよ。切ったから今君は生きている。ODをしたから君のこころはパンクしなかった。でも、これからは、私と違う明日を作ろうね」こう言うと、ほとんどの子どもたちは、電話の向こうで泣きます。

 

多くの親や、先生、大人たちは、子どもたちの今を、特に問題を起こした子どもたちのしたことを、いとも簡単に否定し、非難します。

 

でも、子どもたちをそのようにしてしまったのは、だれなのでしょう。私たち、大人でしょう。

 

私は、どんな子どもも子どもたちのしたことも、否定できません。

ただ、「いいんだよ」と受け入れることしかできません。

 

その子どもたちと共に生き、違う明日を作ることしかできません。