夜回り先生 水谷 修
公式ブログ

Osamu Mizutani Official BLOG

今や夜の街は、スマホの中にも

夜の街は、スマホの中にもある

子どもたちは今、そこで夜を過ごしている

 

昔は、夜の公園やコンビニに子どもたちが集まっていました。

家に居場所がない子。

話を聞いてほしい子。

ただ誰かと一緒にいたい子。

 

そんな子どもたちが、夜の街にいました。

 

でも今は、少し様子が違います。

 

子どもたちが集まっているのは、

公園でもコンビニでもなく、

スマートフォンの中です。

 

SNSを開くと、

そこには子どもたちの投稿があります。

 

私に送られてくるメールの中には、

 

血のにじんだ腕。

何本も残るリストカットの跡。

「生きてる証」

 

そんな言葉が添えられています。

 

机の上に並べられた

たくさんの処方薬や市販薬。

 

「オーバードーズ」

そんな言葉と一緒に、

写真が載せられていることもあります。

 

そして、

たった一言。

 

「消えたい」

 

昔、夜の街で聞いていた声と

同じ言葉です。

 

嬉しい連絡

今日一本の電話がありました。一人の女性からです。

 

彼女は、2011年東北の港町に住んでいました。当時は、高校二年生。漁師の父親と主婦の母親、弟、妹の五人家族でした。

 

彼女は、中学の時から、学校でのいじめや暴力的な父親からの重圧で、リストカットやODを繰り返していました。

 

そして、あの震災。家族五人は、いのちは助かりましたが、避難所の体育館に。

 

避難所では、医療班に。当時、そんな彼女から3月21日メールがありました。

 

「先生、夕べは寒かった。雪が降って、朝には積もって。夕べ、私の担当のおばあちゃんが、寒くて寝れなくて苦しんでた。だって、冷たい体育館の床に二枚毛布を引いて、掛ける毛布も二枚しかないんだ。だから、私、私の毛布を全部おばあちゃんに掛けてあげて、おばあちゃんの横に潜り込んで、背中をさすってあげたんだ。そしたら、おばあちゃん、ありがと、ありがとって言ってすやすや寝てくれた。私生きてて良かった。こんな私でも人を幸せにできるんだ」

 

この子は、高校卒業後、看護関係の大学に進み、東北の病院で看護師をしていました。

 

「先生、私結婚します。3月21日に。だって今の私が、本当の意味で生まれた日だから。先生も、結婚式来てくれますね」

 

私は、断りました。君は、もう私の所を卒業しています。私のことは、つらい過去と同様、忘れてくださいと。

 

私は、関わった子どもたちの結婚式に出たことはありません。それは、彼らにつらい過去を思い出させたくないから。私は、彼らの人生の階段のたった一つの階段に過ぎません。

 

でも、うれしくて今もにやにやしています。

15年の月日が流れました

東日本大震災から、15年の月日が流れました。

 

私も、同級生や教え子を亡くしました。

妻は、宮城県の小中学校で養護教諭をしていました。たくさんの仲間や教え子、知り合いを亡くしています。

 

月日の流れは速い。あれから15年です。

 

今日は、亡くした人たちの思い出を、妻と語り合いました。

 

今日、書いた詩を載せます。

私の今年出版する本の冒頭にも載せます。

 

いのち、不思議なものです。

望まなくとも、与えられ

望まなくとも、いずれ奪(*うば*)われます。

いのち、すばらしいものです。

生きているから、たくさんの美しいものと出会え

生きているから、多くのすばらしい出会いを手にします。

いのち、哀しみです。

いのちを失うこと、死は

すべての人のこころに、深い哀しみを刻みます。

いのち、喜びです。

新しいいのちの誕生は

すべての人のこころに無上の喜びをもたらします。

いのち、大切なものです。

私たちは、生きているからこそ

幸せになれる。誰かを幸せにできる。

 

学校講演が続いています

年度末と言うこともあり、中学校や高校での講演が続いています。

 

ある中学校では、校長先生から、「うちの生徒は、長い講演を、たぶん静かに聞くことが難しいと思います。ご迷惑をおかけしたくないので、45分での講演でとお願いされました」

 

私は、「たぶん一期一会、二度とこの子たちに話す機会はありません。中途半端な講演はしたくありません」とお願いし、90分の講演としていただきました。

 

私の亡くした子どもたちの哀しみ、今苦しんでいる子どもたちの姿をひっしに語り続けてきました。ほとんどの子どもたちが、涙を流しきちんと聞いてくれました。

 

講演後、校長先生から、「うちの生徒たちを見直しました」という一言が。何か哀しくなりました。

 

子どもたちは、大人からの本当に心のこもったことばを待っています。でも、ほとんどの大人は、それをしていません。

 

私は、残りの人生、子どもたちに、それを伝え続けたい。

 

追伸です。

 

昨日は、東京の文化放送で「レコメン!リアルボイス」という番組の収録でした。3月26日(木)23時30分から、三週連続で放送です。聞いてみてください。

夜の街で

夜の街を歩いていると、

子どもたちに出会うことがあります。

 

繁華街の灯りの中で、

夜を過ごしている子どもたちです。

 

 

家に帰れないわけではない。

けれど、

帰りたくない夜も

あるのでしょう。

 

ある夜、

一人の子どもに声をかけました。

 

「寒くないか」

その子は少し驚いた顔をして、

小さくうなずきました。

 

それだけのことです。

 

けれど、

子どもにとっては

「誰かが見てくれた」

そんな時間になることがあります。

 

夜の街には、

声を出せない子どもがいます。

 

だから私は、

今日もまた

夜の街を歩きます。