2021.01.27
読書三昧 ⑧
「シッダルタ」 ヘルマン・ヘッセ著
子どもたち、仏教といえば何を思い出しますか。「お釈迦様」、「仏さま」、「南無阿弥陀仏」、「南無妙法蓮華経」など、いろいろなことを思い出すと思います。でも、「お釈迦様」は、釈迦牟尼、シャカ族の尊い人という意味ですし、「仏さま」は、仏陀、悟りを開いた人という意味です。「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」は、仏教が誕生して、相当たってから作られた祈りのことばにすぎません。仏教とは、どんな思想、信仰なのでしょう。
仏教は、紀元前5世紀頃、インドのシャカ族の王子、ゴータマ・シッダルタが、それまでインドで広く信仰されていたバラモン教の教えやウバニッシャド哲学の学問を元にして、開いた世界観、人生観、そして人のあるべき生き方です。我が国日本には、中国や朝鮮半島から、六世紀に伝わりました。そして、今に至るまで、私たち日本人に多くの影響を与えた宗教です。日本には、学校の数よりはるかに多くのお寺があります。また、お葬式も、お坊さんを呼んで、仏教のお経を上げていただいてすることが多いです。でも、子どもたち、君たちの多くは、この仏教がどのようなものか、知らないと思います。悲しいことです。
子どもたち、シッダルタは、私たちの人生を見切ります。ただ一言、「一切皆苦」ということばで。「生」、「老」、「病」、「死」、これを、彼は、「四苦」と呼びます。人は、必ず、生まれ出て、そして老いていき、病になり、そして死ぬ。これは、だれも避けることのできない運命です。ここに救いはありません。でも、逃げることもできません。それでは、私たち人間は、どう生きればいいのか。どうやれば、救われるのか。彼は、ただあたまだけで考える人ではありません。この究極の問を、みずから日々生きていくことの中で、生き方を求め変えていくことの中で、求め続けます。答えは・・・。
子どもたち、君たちが仏教について持つイメージや考えは、シッダルタの死後多くの人たちによって、シッダルタの思想が、仏教という宗教として、また数多くの宗派として、作られたものに対するものです。子どもたち、私は、仏教という宗教の根本にある、シッダルタの悩み、苦しみ、そして思索、生き方、その中から作り上げた、彼の世界観、人生観、何より、人としてのあるべき生き方を、君たちに知って欲しいと考えています。そのためには、このヘッセの「シッダルタ」は最良の本です。ここには、人として生きている仏さまがいます。君たちの仲間としての先輩としての仏さまがいます。
