2021.01.25
読書三昧 ⑦
「悪魔の辞典」 ビアス著 西川正身編訳 岩波文庫
「信仰とは、類例のない物事について、知りもしないくせに語る者の言うことを、証拠がないにもかかわらず正しいと信じること」、「政治とは、主義主張の争いという美名のかげに正体を隠している利害関係の衝突。私の利益のために国事を運営すること」、「花嫁とは、幸福になり得るすばらしい前途の見込みを後ろにまわしてしまったおんな」
子どもたち、どうですか。これを読んで、何を感じましたか。
何をばかなことを言っているのかと、怒りを感じた人は、常識人。自分の一生を、失敗に終わらせないためにも、この本を、まじめにていねいに読むべきです。そして、何もかもあるがままに、言われたままに信じるのではなく、ものごとを健全に疑うこころを身につけるべきです。
いいことを言っている、ざまあみろと、にやっと笑った人は、問題があります。この本を、何度も読み直し、ことばの文章の裏にあるビアスの想いをきちんと理解するべきです。
アンブローズ・ビアスは、多くの雑誌や新聞に寄稿した、有名なアメリカのジャーナリストでした。彼が活動した、南北戦争後の1870年代から1900年にかけては、アメリカ史上、最も恥ずべき時代と今も語られるほど、政治や経済は、腐敗し、宗教界も、男女の関係も、堕落した時代です。子どもたち、何か今の私たちの時代と重なりませんか。そのような時代に、彼は、ジャーナリストとして、一本のペンだけを武器として、戦いを挑みました。社会を変えるために。風刺(嫌みといえばわかりやすいかもしれません)という方法で。
子どもたち、なぜこの地球で人類が、このように支配者として力を持つことができたのか、わかりますか。それは、なぜと問うあたまと、本当なのかと疑うこころを持っていたからです。なぜ太陽は昇るのか、この問に、かつて神を使い神話で説明した時代があります。そして、それを疑い、現在の科学が生まれてきました。言いかえれば、過去や現在を、問い疑うことから、明日が作られてきました。
子どもたち、君たちは、今の社会や政治、経済のありかたを、ただ受け入れていませんか。これでいい、あるいはしかたがないと。これでは、新しい素晴らしい明日は、生まれません。子どもたち、お願いです。これではだめだ、変えなくてはならない、そんなこころを、君たちの中に芽生えさせてくれませんか。この本の中には、たくさんのヒントがあります。
