2020.10.17
自分を受け入れる
私が、高校の教員だったとき、必ず授業やホームルームで、子どもたちに出した宿題があります。それは、自分について、好きなところと嫌いなところをできるかぎりすべて書くというものです。そして、返ってきたレポートを見て、いつも悲しい想いをしていました。
ほとんどの子どもたちが、自分の中の嫌いなところについては、たくさん書いてくるのに、自分の中の好きなところについては、ほとんど書いてこないからです。中には、自分の中に好きなところはないとまで書いてくる生徒もいました。
みなさんもやってみてください。どうですか。たくさん自分の中の好きなところが、書けますか。
今、自己肯定感すなわち、きちんと今の自分を認めること、自分に自信を持つこと、それができない人たちが増えています。その理由はわかります。みなさんには責任はありません。
いつも、家庭や学校、職場で、「こんなこともできないの」、「もっと急いで」、「何をしてるの」と追い立てられれば、みんな、「自分はだめな人間なんだ」と自信を失い、こころを閉ざしてしまうでしょう。でも、自分というのは、洋服とは違います。どんなに自分を嫌っても捨てることはできません。交換することもできません。
私はかつてからだに障がいを持つ子どもたちの高校で教えていました。たくさんの車いすの生徒たちがいました。
彼らに私たち教員が一番はじめに教えることは、自分の障がいを受容することでした。車いすの生徒は、当然走ることはできません。大リーグで野球の選手になりたいという生徒には、肉体的にそれが無理だと自覚させました。
つらかったです。でも、障がいは病気とは違います。治ることはありません。その自分の障がいをすべて受け入れ、その上で明日の夢を作り、私たちの力を借りながら、それに向かって生きていく。それを教えることが私の仕事でした。
みなさんの顔や姿、能力、環境や状況を今すぐに変えることはだれにもできません。まずは、すべてをみさなん自身が受け入れるしかないのです。その上で、いろいろな人の助けを借りながら、明日を作って行かなくてはなりません。
でも、みなさん自身が、今の自分を受け入れることなく、ただ否定していたら、ただ夢の世界に逃げ込んでいたら、そこには救いはありません。自分を否定する人間には、明日はありません。
まずは、今の自分をすべて受け入れよう。そこが、スタート地点です。そして、それから、かけがえのない自分の中に、好きなところ、いいところをいっぱい見つけよう。自分をいっぱい誉めてあげよう。必ず、みなさんの明日が変わります。
