2020.06.26
「差別」はなぜ生まれるのか
今回は、一冊の本を通して「差別」について書きます。
私は、小学校六年生の時に、住井 すゑの「橋のない川」という一冊の本を母からもらいました。
そのころの私は、有頂天でした。勉強もできました。スポーツもまずは問題なく。クラスでも人気者、いつも、友人たちに囲まれていました。そんな私は、いつも不思議に思っていました。私が、いくら百点をとっても、うれしい顔をしない母、その日のことを自慢げに話しても、喜ぶどころか、哀しい顔すらみせる母を。そんな私に母がくれた本が、この本でした。私は、この本を読んで、震えました。泣きながら、そして時に怒り狂いながら、何度もこの本を読みました。そして、生き方が変わりました。
みなさん、世界には、多くの「差別」があります。
「差別」とは、「本人の努力によってどうすることもできないことで、不当な扱いをすること」をいいます。男女差別、人種差別、職業差別、部落差別など、たくさんの差別が、今も残っています。
私たちの国、日本でも、憲法第十四条で、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と決められていますが、現実には、たくさんの差別が、ありますし、それによって、多くの人たちが、不利益を被るだけではなく、生活を脅かされたり、あるいは、明日を奪われたりしています。この本は、それらの差別の中で、部落差別について、書いたものです。
みなさんは、自分を人とくらべたことはありませんか。自分は、あいつより、頭がいい。自分は、あいつより顔がいい、自分は、あいつより金持ちだ。自分は、あいつより幸せだ。そして、その人を見下し、それどころか、つきあうこともやめてしまう。きっとあると思います。これが「橋のない川」、越えることのできない川、まさに「差別」の始まりなのです。私の母は、これを教えてくれるために、私にこの本をくれました。あいつとわたし、むこうとこっちの間に、「橋のない川」を作ってはいけないと。
私たち人間のこころの中には、生まれながらに、他人よりよくありたいという欲望が住んでいます。まさにこれが、「差別」を生み出していきます。私たちの社会から、この許すことのできない「差別」をなくすためには、まずは、私たち一人ひとりが、この欲望と、日々戦い、そして抑えて行かなくてはならないのです。
私は、この本を読んでから、ずっとそう生きてきています。だれとの間にも、どんな人たちとの間にも、絶対に「橋のない川」は、作らないと。
