夜回り先生 水谷 修
公式ブログ

Osamu Mizutani Official BLOG

リストカット

今回は、リストカットについて書きます。

かつて私は、一人の18歳の少女から相談を受けました。

彼女は、中学校の時、いじめにあい、中学校二年生の時から、学校に通うことができなくなりました。そして、引きこもりに。彼女の生きている証は、深夜のインターネットでの見知らぬ仲間たちとの会話だけでした。

そして、彼女は17歳の時に、リストカットを覚えました。彼女は、ネットで知り合ったリストカットの少女を助けようとしました。「あなたが切るのなら、私も切る」、彼女は、自分の腕をかみそりで切りました。そして、リストカットが止められなくなりました。そして母親に見つかり、泣かれました。彼女は、リストカットを止めようとしましたが、自分の力ではどうにもならず、私に相談してきました。

その彼女から、夜遅く電話がありました。

「先生、死にたい。リストカットしたい。いい、リストカットして」私は、何も答えませんでした。「先生、切るよ。いい」彼女は何度も繰り返しました。私は、「先生が止めてもきっと君は切るよね。先生に止める力はありません。ただ、一つだけお願いがあります。まず、冷蔵庫に行ってごらん。そして、冷蔵庫の中にきっとチューブに入ったわさびやからしがあるから、それを全部お皿の上に出して、持っておいで」彼女は私の言ったとおり、わさびを持ってきました。

そして、「先生、言ったとおりにしたから切るよ」こう言って、手首を切りました。私は、すぐさま「もう一つお願い。わさびをたっぷりその傷に塗ってごらん。いいね」と言いました。「うん」という彼女の返事のあと、「ぎゃー」という悲鳴と、「先生私を殺す気なの」という叫びが、電話から聞こえてきました。

私は、彼女に言いました。「リストカットしたいのは、死にたいと思うのは、君のこころの叫び。今の痛みは、君のからだの叫び。どちらも大切な君なんだよ。すぐに救急車を」

みなさん、なぜ自ら死ぬことを自殺というのか知っていますか。

それは、自らのからだを、自らのこころで殺しているからです。

みなさん、みなさんは、こころだけで生きているのではありません。からだとともに生きています。今、夜眠らないで、からだにつらい負担をかけたり、大切な自分自身であるからだを、自ら滅ぼしてしまう人が増えてきています。哀しいです。

みなさん、みなさんのからだはいつも君たちのために戦っています。細菌がはいれば、熱を出し、それを滅ぼそうとする。悪いところがあれば、痛みでみなさんに伝える。みなさんのからだは、いつもみなさんを生かそうとしています。

みなさんは、そんな大切な自分のからだを大切にしていますか。