2020.05.25
こころの免疫力
先生がたや、保護者の方々に聞きたいことがあります。それは、自分のクラスの生徒や、自分の大切な子どもが、いじめにあう可能性のある子どもかどうかを、きちんと見極めることができますか、ということです。多分、ほとんどの先生や保護者は、そんなことができるわけがないと答えるでしょう。でも、それは、間違っています。私は、いじめられる可能性のある子どもを、教員としても、保護者としても、見分けることができます。
みなさんもご存じの通り、私たちのからだには、免疫力や抵抗力が備わっています。風邪やインフルエンザのウィルスや、様々な細菌が、私たちのからだの中に入ってきても、私たち自身が、日々規則正しい生活を過ごし、きちんと栄養を取り、そして、日々楽しい生活を過ごして、健康でいれば、私たちが意識しなくても、からだの中では、それらのウィルスや細菌の侵入を防ぎ、そしてもし入ってきてしまっても、いち早く滅ぼそうという戦いが始まります。ところが、不規則な生活を過ごし、こころに何か問題を抱えて苦しめば、その人のからだの免疫力や抵抗力は低下します。そして、ウィルスや細菌が、からだの中の戦いに勝利をおさめ、私たちは、病気になってしまいます。
この免疫力や抵抗力は、私たちのからだの中にだけあるのではありません。私たちのこころにも、様々な外からのこころへの攻撃に対する免疫力や抵抗力があります。実は、このこころの免疫力や抵抗力が弱まっている子どもが、多くのいじめの問題の場合、いじめの対象となってしまいます。
からだの免疫力や抵抗力と、こころの免疫力、抵抗力は、それぞれが全く関係のない別なものではありません。完全に一つのものです。からだの調子が悪かったり、病気になっていたら、こころも病んでいきます。考えることは、暗いことばかりになってしまいます。逆に、こころが、いじめや様々な問題で苦しみ、追い詰められれば、からだの免疫力や抵抗力も低下し、からだも病んでいきます。私は、この体やこころの免疫力や抵抗力を、「生きる力」と呼んでいます。この子どもたちの「生きる力」の状態がわかれば、いじめられる可能性のある子どもを見分けることができます。
私は、教員時代、始業式の後、初めて担任するクラスの子どもたちと教室で自己紹介をするとき、必ず一人ひとりの生徒と握手をしました。それも力を入れて。この握手に力強く答えてくれる生徒は、「生きる力」の強い生徒です。また、生徒たちに自己紹介してもらうとき、自分の名前を大声で言ってもらいました。大声で答えることができず、ぼそぼそ小さい声で答える生徒は、「生きる力」の弱い生徒です。このようにして、「生きる力」の弱い生徒を見つけ、そしてその生徒を、まずはいつも側に置き、関わりを絶やさず、いじめの防止や早期発見と対処に努めました。
そうだ、保護者の皆さん。そろそろ学校がはじまります。子どもたちが学校から帰ってきたら、二つのテストをしてみてください。一つは、私がしたように、「お帰り」と大声で叫び、強く握手をすること。「ただいま」と大きな声で返事し、手を強く握り返してくれれば、いじめにあっていない証拠です。「生きる力」が満ちています。もう一つのテストは、次の休日です。グラントや公園に家族みんなで出かけ、みんなで全速力で走り回ってください。それができれば、大丈夫でしょう。
