2020.05.22
「生きる力」を育てる
みなさん方の中に、自分の子どもの幸せを願わない人はいないと思います。まず、全ての親は、自分の子どもが一生を幸せに生きてくれることを望みますし、そして、そのために日々身を粉にして働き、支えています。また、ほとんど全ての大人たちは、次の時代を担う子どもたちが幸せに生きることが出来る社会を作ろう、守ろうとしているはずです。
それでは、どのような子どもたちが、幸せに生きることが出来るのでしょうか。私は、「生きる力」を持っている子どもたちだと考えています。「生きる力」の弱い子どもでも、確かにそれを補い守る人がいれば、幸せに生きることは出来ます。しかし、「生きる力」の強い子どもは、自らが幸せになるだけではなく、時として回りの他の人たちも幸せにしていきます。
それでは、この「生きる力」を、どのようにしたら育てることが出来るのでしょう。その鍵は、子どもの自己肯定感つまり自信と、愛されていることの自覚にあります。自分に自信のある子どもは、少しぐらい仲間から傷つけられても、それを振り払う強さを持っています。また、親から愛されている自覚のある子どもは、虐められても親や先生に相談できますし、夜の世界や遊びの誘惑や薬物などの誘いも拒否できます。
今、子どもたちは、私たち大人に、「いじめ」、「不登校」、「こころの病・リストカット・自死」、「非行・犯罪・薬物乱用」など、多くの問題を突きつけてきています。私は、この背景に、子どもたちの「生きる力」が、1991年秋のバブル崩壊後、25年にわたる日本社会の経済的そして社会的閉塞的状況の中で、どんどん失われてきたことがあると考えています。言い換えれば、子どもたちの自己肯定感、愛されているという自覚が失われてきたことに原因があると考えています。今、私たちの社会は、いらいらした社会です。父親は、会社でのいらいらを家庭に持ち込み、それを妻や子どもにぶつけます。いらいらした母親は、それを子どもに。それでは子どもたちは、それを誰にぶつければいいのでしょう。強い子は、ふてくされ、夜の世界に。そして、非行・犯罪や薬物乱用に逃げます。そこまで強くはない子どもたちの一部は、そのいらいらを仲間へのいじめで解消しようとします。弱い子どもたちは、そのいらいらを抱え込み、不登校やこころの病に、そして追い詰められ死を選ぶ子どももいます。
子どもを育てているみなさんにお聞きします。みなさんは、子どもをほめた数と叱った数、どちらが多いですか。多分ほとんどの人は、「叱った数」と答えるでしょう。私は、そこに、親や大人の傲慢さと浅はかさを見ます。「子どもたちは、当然自分のいいところはすでに知っている。だから、悪いところを叱って直させていい子に育てる」これは、傲慢で浅はかな考え方です。もし、子どもが、自分のいいところを知らなかったら、自信がなかったら、日々叱られ続ければ、もっともっと落ち込んでいきます。これが、今の子どもたちの抱える問題の主因だと考えています。日本には、すばらしい格言があります。「子どもは、十ほめて一叱れ」きちんと子どもたち自身の持っているいい部分を認めてあげて、その上で注意する。すばらしい教育法です。これを、今、親や先生、大人たちが忘れています。
みなさんにお願いです。子どもたちにたくさんの優しい言葉をかけてあげてください。子どもたちのいいところをいっぱいほめてあげてください。それが、子どもたちの明日を拓きます。
