夜回り先生 水谷 修
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Osamu Mizutani Official BLOG

罪を犯した少年への手紙

昨年末、私は、刑務所から一通の手紙を受け取りました。17歳で殺人の罪を犯し、事件の重大性から、家庭裁判所から地方裁判所に逆送され、長期刑の判決を受け、現在刑務所で服役している少年からの手紙です。

その手紙には、少年のあまりにも過酷な生育環境、親とも呼ぶことのできない最悪な親、そして小学校、中学校で受けたいじめの数々や当時の教員たちのあまりに許せない言動が書かれていました。そして、犯した罪の重さに自らを責める日々が書いてありました。「死にたい」のことばも。

私は、その返事を書くのにほぼ二ヶ月の月日をかけてしまいました。何をどう書いて良いのか、わからなかった。そして、私からの手紙を待ち続ける少年に、今日手紙を出しました。その内容を、そのまま載せます。

 

「お手紙、ありがとうございます。何度も読ませていただきました。また、君の事件について、たくさん調べてみました。

返事が遅れたこと、すみません。何を君に話すことができるのか、神に何を語ればいいのか、それをずっと二ヶ月以上考えていました。でも、いまだに答えは出ていません。

君が、私からの返事を待っていること、痛いほどわかっていました。ですから、まずは、私のこころに正直にお手紙を書いていきます。

 

この世界に生まれてから、今までの君の日々、つらさ、こころに浸みました。哀しかった。君を大切に育てなかったすべての大人たちが憎かった。もし、ただの一人でも、優しい大人が君の周りにいたらと、悔しくて成りません。実は、私は、君の育った町、今まで何度も夜回りしています。その時に、君と会えていたら、そう思います。

 

でも、過去は変えることができません。哀しいことですが。

 

君がしてしまったことは、決して許されることではありません。明日がある一つのいのちを奪ってしまった。これは、必ず償わなくては、なりません。もし、君に優しい両親がいたら、きっとこの事件は起きなかったでしょうし、君が、君を助けてくれる良い大人と出会っていれば、一つのいのちが失われることもなかった。それでも、やはり、君は、自分の罪は、償わなくてはなりません。こころから自分のしたことを悔いて、そして、償いましょう。そして、戻っていらっしゃい。昼の世界に。

 

私は、ガンです。君が戻るときまで、この世界にいることができるのか、約束はできません。でも、戻ってきた時、私が生きていれば、私や私の生徒たち、仲間たちが、君を守りましょう。また、私が、仮にいなかったとしても、昼の世界に君が戻ってくれれば、たくさんの良い大人たちが、君の明日を作る手伝いをしてくれます。

 

償いの日々、厳しい日々となると思います。でも、君は、今生きています。生きていき続ければ、必ず幸せな明日が来ます。それを信じて、今を明日のために生きてください。

君は、これだけの文章を書くことができる子です。必ず、明日を作ることができます。」

 

子どもたちは、いつの時代も被害者です。悪いことをしようと、人を殺そうと生まれてくる子どもなど一人もいません。みんな、真っ白なこころで生まれてくる。だれが、その子どもたちを汚すのでしょう。犯罪へと追い込むのでしょう。私たち大人、私たちが作ってしまった社会ではないでしょうか。

 

3月の講演会は、国からの指示ですべて無くなりました。この時間を使って、できるだけ多く「夜回り」をしようと考えています。きっと、たくさんの子どもたちが、夜の世界で私を待っています。