夜回り先生 水谷 修
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Osamu Mizutani Official BLOG

本当の「個人主義」に

今日は、朝7時30分から9時まで、労働組合関係の人たちに講演をしてきました。そこで、話したことについて書きます。

 

本当の「個人主義」とはどのようなものでしょう。この「個人主義」の反対の意味で使われるのは、「全体主義」(ファシズム)ということばです。みなさんには、悪い印象しかないことばでしょう。歴史的には、ドイツのナチスが、この形態で、国家を作りました。簡単に言えば、個人は、国家や集団に従属して尽くすべきものであるという考え方です。これに対して、語られるべきものが「個人主義」です。

でも、今多くの人たちは、この大切な「個人主義」を、個々人が好き勝手に生きることができることと、勘違いして捉えているように思います。本当の個人主義は、国家や社会が、まずはそれを組織する一人一人の人たちを大切にし、そしてそれを守るためにあるという意味です。

 

私は、今、世界で、そして日本で、恐ろしい「全体主義」がはびこっているように感じています。国家があって国民がある。会社があって社員が存在する。学校があって生徒がいる。こんな考え方の人たちが、増えています。とても危険な考え方です。本来は、国民がいてはじめて国家があるのであって、社員がいて会社が成立し、生徒がいて、はじめて学校が存在するのにです。

 

今回こんなことを書いたのには、理由があります。現政権は、アメリカもそうですが、まずは、国家優先です。この国を、強く栄える国にすれば、自然と国民も豊かになる。そのためには、今は、国のために、国民は奉仕すべきだと考えているようです。そして、憲法を改正し、国防を強化し、一部の富裕層や企業を守り、強い国家を作ろうとしています。その一方で、この国を支えた分厚い中流層が崩壊し、多くの人が貧困に追い込まれています。

私は、これは間違っていると考えています。国民から、一人も貧困に苦しむ人を作らないように、限られた富を分け合いながら、強くはなくても、分相応に幸せな国を作る。こう考えている指導者は、日本のみならず、世界では少ないようです。

企業も同様です。会社や経営者の富を増すことを基本として、非正規雇用や低賃金によって労働者を苦しめている人たちがたくさんいます。すべての雇用者を、安定した豊かな生活がおくることのできるようにという理念の企業や経営者は、ほとんどいません。

学校もそうです。本来は、生徒がその中心であって、その生徒たちの望むかたちで学校を運営し教育を展開していく姿こそ、在るべき姿なのに、まずは学校や教育委員会中心で、生徒たちを支配し、押さえ込んでいます。それが、不登校やいじめなど、学校現場では、あってはならないたくさんの問題を引き起こしています。

私は、まさにこのような社会の姿こそ、忌むべき現代の「全体主義」だと考えています。

 

グローバル経済が限界に達し、限られた富を、世界で国内で分け合いながら幸せを求めることが求められている今、このような国家や企業、学校を中心とした「全体主義」は、必ず落ちこぼれさせられる人を作ってしまいます。だれかが、富む、幸せになることが、だれかを、貧しく、不幸にすることになってしまっています。哀しいことです。

 

どうぞ、今こそ、本来の「個人主義」に戻りましょう。まずは、国家や会社や学校を守るのではなく、大切な側にいる仲間たちを守りましょう。

声高く、国家の繁栄や会社、学校の輝かしい未来を語る人たちから、距離を置きましょう。

そして、何より、こんな現状の中で、忘れ去られる人が、仲間が、一人も出ないように、周りに優しさを配りましょう。