夜回り先生 水谷 修
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寂しさに慣れる

今、多くの人たちが、特に子どもたちが「寂しさ」を嫌います。そして、その寂しさから逃れようと、メールや携帯電話、ネットの世界で、いつもだれかにつながっていようとしています。また、私のもとには、「友だちに嫌われた、死にたい」、「彼氏に捨てられた、死にたい」と、数多くの子どもたちが、メールしてきます。多分、今子どもたちが、一番嫌っているのは、まさにこの寂しさでしょう。でも、寂しいことは、そんなに悪いことなのでしょうか。そんなに、困ったことなのでしょうか。私は、まったくそうは思いません。

私たちは、この世界に、たった一人生まれさせられました。自分から、望んで生まれてきた人はいませんし、自分の生まれ出る時代や環境を選んで、生まれてきた人もいません。そして、生きています。いつか、必ず訪れる、たった一人で迎えなくてはならない死に向かって。

人生とは、生まれ出た瞬間から、いずれ来る死までの、限られた時間を、ただ一人歩んでいくことです。確かに、親との長い交わりは、あるでしょう。友人や愛する人との交わりもあるでしょう。でも、結局は、いつも一人で、自分に責任を持ちながら歩き続けなくてはならない。それが、人生です。

もともと私たち人間は、寂しい存在なのです。いくら、その寂しさから、メールや携帯電話、ネットなどを使って、だれかと関わることで逃げようとしても、それは一瞬の自己満足。すぐにもっと大きな寂しさとなって返ってきます。友人や恋人に依存することで、この寂しさから逃げようとしても、それも一瞬の救いに過ぎません。「寂しさ」、これは、逃げることのできないもの、受け入れるしかないものなのです。

みなさん、「寂しさ」に慣れてみませんか。一日の中に、何もしない時間を作るのです。テレビも消して、ゲームや携帯電話からも離れ、静かな部屋で一人、何をすることもなく、ぼおっと過ごす時間を作りましょう。座ってでもいい、横になってもいいです。そして、できたら、自分の将来のことや、特に死について、じっくりと考えてみて下さい。自分の限られた一瞬の人生について、いずれ訪れる死、自分が死んでも、きっと無限に続く宇宙の流れ。きっと、みなさんは、恐ろしさに震えるはずです。そして、今生きていることの大切さを心の底からわかるはずです。これが、必ず、みなさんの今の生き方を、変えてくれます。みなさんを、強くしてくれます。