夜回り先生 水谷 修
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Osamu Mizutani Official BLOG

旅に出よう

私は、青年時代三年近くの間、ヨーロッパ各国を放浪しました。本来は、ドイツの大学に留学する予定だったのですが、入学資格試験に合格することができず、かといって、日本に戻ることも恥ずかしくてできず、アルバイトをしてお金を手に入れながら、ヨーロッパの国々をさまよっていました。たくさんの国のたくさんの人たちと知り合い、たくさんのことを学びました。

あのときは、何か自分が人生のレールからはじき落とされ、仲間たちから置いて行かれたような、劣等感を常に感じていました。でも、「それはそれでいい、たった一度の人生、悔いのないように自分なりに生きよう」と自分に言い聞かせ、絶対に立ち止まることなく、胸をはって生きていました。子どもたち、今になって思えば、このときの私の人生の遠回りが、私を変えてくれました。今の私があるのは、あのときの経験があるからです。

今日本では、二百万人を超える人たちが、いじめや学校、会社などへの不適応、あるいはこころの病で、不登校やひきこもりになってしまっています。社会に出ること、人と触れあうことを怖れ、そして拒み、毎日暗い部屋の中で、生きています。しかも、ネットやゲームなどの仮想空間を友として・・・。これは、とても哀しいことですし、恐ろしいことです。人は、他人との直接の触れあいの中でしか成長できません。他者との触れあいを断ってしまうことは、自らの明日を自ら捨ててしまうことです。

確かに、つらいとき、苦しいとき、哀しいとき、少し立ち止まることは大切です。でも、立ち止まり続けても明日はきません。すぐにまた、立ち上がり、人生を歩き始めなくてはならないのです。つらいときに立ち止まっても、ただつらさがより増すだけです。一刻も早く、そこを去り、新しい出会いや日々を探さなくてはならないのです。

みなさんにお願いがあります。これからの人生で、つらいこと、苦しいことがあったとき、旅に出てみませんか。海外でも、国内でも、まずは、目的もなく、たださまよってみませんか。一年とか、一月という長い期間でなくてもいいです。ただ、夜行列車に乗り、見知らぬ町に行ってみる。自分の住んでいる町のどこかを、半日さまよってみる。それでもいいのです。ともかく、ふだんの生活や、家から、学校、会社から、できる限り離れてみませんか。哀しい過去や、今は、その傷を受けた場所にいても、癒やすことはできません。その旅での、だれかとの出会いや、さまざまな経験が、明日を変えてくれます。