2020.01.15
優しさとは
私たち人間は空気なしには、生きることができません。そんな大切な空気ですが、みなさんは、空気を見たことがありますか。当然、「見たことなんてない」と答えるでしょう。みなさんは、空気を味わったことがありますか。「そんなことしたことない」と答えるでしょう。それでは、空気を感じたことはありますか。多分、何て馬鹿らしいことをいっているのかと、笑われると思います。でも、私は、空気を見たことがあります。味わったことも、感じたこともあります。空気の中に、水蒸気や煙が含まれれば、空気は見ることができます。近くの煙突の上を見てご覧なさい。空気に、排気ガスや花の香りがつけば、空気を味わうことができます。どうぞ、外に出て、君の手を右から左にすばやく動かしてご覧なさい。また、吹きすさぶ風の中に立ってご覧なさい。空気を感じることができます。空気は、いつも私たちの周りにたっぷりとあります。でも、その存在を感じるためには、私たち自身が、意識して動かなくてはなりません。
私は、優しさも空気と同じだと考えています。実は、いつも私たちの周りにたっぷりとあります。でも、私たちが、意識して動かなければ、その存在を確認することはできませんし、それを感じることもできません。私は、先日東北地方から戻りました。東京駅での出来事です。電動車いすに乗った女性が、ホームでエレベーターのスイッチを押すことができずに困っていました。私が、お手伝いしようと近づいていくと、私の前を歩いていた青年が、「大丈夫ですか」と優しい声をかけ、スイッチを押してくれました。地下の通路を歩いていると、一人のおばあさんが、帰りを急ぐ人とぶつかり倒れてしまいました。何人もの周りにいた人が、「おばあちゃん、大丈夫」と声をかけながら、おばあさんを優しく立ち上がらせてくれました。ぶつかった人も、「すいません」と謝りながら、おばあさんのバッグを拾ってくれました。こころがぽかぽかになりました。
私が、今回こんなことを書いたのには理由があります。私のもとには、毎晩のように、不登校や引きこもってしまった若者たちから、相談のメールが届きます。彼らが、そうなってしまったことには、それぞれの理由がありますが、ほとんどは、いじめや友人とのけんかなどの人間関係のこじれから、人を信じることができなくなってしまったからです。そして、一人暗い部屋で苦しんでいます。私は、彼らにいつもこう答えます。「もう一度だけでいい、人を信じてみよう。外に出てみよう。学校に行ってみよう。そして、こころを開いて、周りを見回してごらん。たくさんの優しさが見えてきますよ」と。
