2019.12.15
みんな違ってみんな良い
みなさん、みなさんは「おでん」が好きですか。私は、子どものころからおでんが大好きでした。おでん、知っていますね。厚揚げやこんにゃく、つみれやちくわ、はんぺんなどのいろいろな練り物、大根やジャガイモなどの野菜やこんぶを、だしの中でゆっくりと煮込んだものです。関西では、「関東炊き」と言います。みなさんは、何が一番好きですか。私は、大根とジャガイモです。
私は、この二十九年、日本中を講演で回っています。そして、日本中のおでんを食べ歩いてきました。鶏ガラ、牛すじ、濃い口醤油でとったつゆで煮込み、削り節や青のりをかけて食べる静岡おでん、刻みネギだれで食べる長野県飯田おでん、醤油ではなく八丁味噌で味付けする愛知の味噌おでん、ショウガ醤油で食べる姫路おでん、日本各地のおでんを食べ歩きました。どのおでんも、それぞれの地方の歴史を感じるおいしいものでした。みなさんも、ぜひいろいろ食べ比べてみてください。
私は、先日福島県郡山市に行ってきました。震災とそれに続く原子力発電所の事故によって、今も福島県や周辺の地域は、苦しんでいます。放射能や放射線による汚染に対するさまざまな風評で、旅館やホテルは、旅行者の減少で苦しみ、水産業や農業、牧畜に従事する人たちは、魚や貝、野菜や肉が売れず、苦しんでいます。その対策をどうするか、さまざまな人たちと話し合いを持ちました。
夜は、もうすでに三十年ちかくおつきあいのある「一平」という駅近くのおでん屋さんで夕食をとりました。安くておいしい最高のおでん屋さんです。
そこで、私ははっとさせられました。私が、おいしくおでんをいただいていると、お店のご主人が私にこういいました。「水谷先生、なんでおでんがおいしいのかわかりますか。それは、おでんに入れたさまざまな具が、それぞれけんかすることなく、お互いの味を引き立て合い、もっとおいしい味を作っているからですよ。どの具の味が、一つ欠けても、うちの本当の味はでません。それにね、先生、おでんの具は、それぞれえらいよ。自分の味は、きちんと主張するけれど、他の具の味もすべて受け入れる。そして、もっとおいしくなる。政治家も大人たちも、みんなおでんの具のようになってくれれば、この震災や津波、原発事故で苦しんでいる私たちも救われるのに」
みなさん、私は、ご主人のことばから、大切なことを学びました。みなさんは、学校のクラスや、家庭、さまざまな社会で、人とのふれあいの中で生きています。でも、自己主張が過ぎれば、人を傷つけ孤立してしまうことになるし、かといって、自己主張を何もせずにいたら、ただその中で流されるだけになり、苦しむことになります。
みなさん、みんな違ってみんな良い。でも、みんなで理解し合えれば、もっといいんです。
