2025.06.11
大学入学金及び受験料の問題
現在、多くの私立大学が、試験直後に入学金の納入日を指定し、複数の私立大学や公立大学を受験する受験生が、入学金の二重払いを強いられ、また、それを避けるために、本来なら複数の大学を受験したいにもかかわらず、それが、問題で、受験を諦めている。
この問題については、「学納金返還訴訟」が行われたが、2006年の最高裁判決で、入学金は、大学に入学するための対価であるという理由で、退けられた。
実は、この問題は、隣国韓国でも、長く大きな問題とされ、2017年には、すべての私立大学が、2022年までに段階的に廃止しすることが、決定され、すでに解決している。
また、アメリカでは、そもそも入学金そのものが存在せず、入学が決まれば、まず、「Deposit」として、300ドルから500ドルを支払い、それは、入学後の授業料に充当される。
ヨーロッパでは、多くの国が、国立大学の場合、大学の授業等が、無料である。イタリア、スペイン、スイスなど有料の国もあるが、その金額は、日本と比べてきわめて安価だ。当然、入学金そのものが存在しない。
立ち返って考えれば、入学しない生徒から、入学金を徴収すること自体が問題である。しかも、私は、花園大学、上智大学で、教えていたが、ほとんどすべての私立大学は、徴収した入学金を、通常の大学運営のための資金として転用している。これについては、ぜひ、文部科学省を動かし、全国すべての私立大学の入学金が、それぞれの大学でどのように使われているのかを調査していただきたい。入学してこない生徒から徴収した入学金を、大学運営に使用することは、本来の入学金の目的に反した行為である。私は、日本の多くの私立大学は、教育機関というより、ある意味での営利団体だと考えている。その見方からいえば、日本の商法に違反する違法行為である。
また、入学金が、一律20万円から30万円程度で横並びに設定されていることも問題である。その設定根拠についても、すべての大学に、その根拠の提示を求めるべきである。
提案
- 一番の解決方法は、入学金を廃止することである。国から大学運営のための助成金を受け取っているのだから。また、国は、廃止したならば、そこにかかる費用を助成すべきである。教育は、消費や浪費ではなく、こどもたちへの投資、ひいてはこの国の明日への投資なのだから。
- 入学金の納付期限を、すべての大学の合格発表が終わる、3月中旬以降に、しかも同日に設定すれば、生徒たちは、入学する大学の入学金のみを支払うこととなり、この問題は解決する。
- 大学が、合格発表以降、入学予定者に対する事務作業等で一定の費用がかかるのでそれでは、大学運営に支障が出るというのならば、その実際の費用を各大学が明確に算定し、その費用のみを、入学手続き後、アメリカのように徴収するシステムにすれば解決する。きちんと入学した生徒からは、入学後に、入学金との額を徴収すれば良い。
- また、すべての大学に、入学金の金額設定の根拠を提示させ、それぞれの大学が、実際に入学までの諸費用として必要な金額で、入学金の金額設定を求めるべきである。
- また、最悪の場合の一案ではあるが、宿やツアー旅行のキャンセル料のように、二月中の入学辞退ならば、全額返金、三月中旬までならば、5割返金のように、通常の商法上の規定に準拠させる方法もある。(私自身は、これは最悪の解決方法だと考えているが)
次に、大学受験料について、提言したい。現在、ほとんどの私立大学は、一律3万円程度の受験料を徴収している。(ただ、同じ大学で、いくつかの学部を受験する生徒の受験料の軽減をしている大学も存在する)しかも、「大学入学共通テスト」を受験に利用する大学も、同じ受験料を徴収している。これでは、4万5千円程度の支払いが必要になる。これも、多くの生徒たちやその家庭にとって大きな負担となっている。
アメリカの大学では、ほとんどすべの大学の受験料は、数十ドル、一万円以下である。
まずは、その受験料が、どうしてその金額に設定されているかの根拠を、各大学に説明させてほしい。私は、花園大学で教えていたが、厳密に受験にかかる費用を受験生で割った場合、一万円以下の金額で収まる。本来受験料は、受験に実際にかかる費用だけを徴収すべきもので、もしも、その受験料の一部が、大学の通常の運営費用に流用されていれば、それは大きな問題である。入学できない生徒たちか集めたお金を、他用することになるのだから。
また、この問題は、大学のみに当てはまらない。高校受験においても、公立高校の受験料は、だいたい2200円程度、国立高校の場合は、9800円、それに対して、私立高校では、平均22000円となっている。私は、長く公立高校で教えていたが、いつもなぜ私立高校が、そんな高額の受験料を徴収するのか疑問だった。これについても、各私立高校に、その金額設定の根拠を、明示させるべきである。
提案
・大学の受験料については、その大学が、受験業務に必要かつ使用した金額を標準として、各大学がそれぞれ設定すべきである。大きな大学で、地方受験を行う場合は、受験料を同一にせず、大学設置地域での受験料と地方受験受験料を、実態に合わせて異なるようにすべきである。これは、地方の生徒たちにとって、交通費や宿泊費の軽減となる良い制度であるが、都市圏で受験する生徒から徴収したお金を、地方受験に使うことも大きな問題である。
また、「大学入学共通テスト」は、このような問題を解決するために、嫌なことばだが「足切り」のために作られて試験だと私は考えている。もし、公立、国立だけではなく、すべての私立大学が、受験生に対するある程度の「足切り」のためのテストとして使うものならば、その存在価値はあるが、現在のように、中途半端な形で運営されることは、百害あって一利なし、単なる文部科学省の天下り機関(言い過ぎかもしれないが)である独立行政法人大学入試センターの収益のために実施しているとしか考えられない。廃止して、すべての大学が、独自の入試を実施すべきである。ぜひ、この法人について、その収支を調べていただきたい。
付記
これは、先日立憲民主党の「文教部会」の議員の方々に、参考資料として提出したレポートです。
