2021.10.22
読書の秋
読書の秋です。本、読んでますか。涼しい秋の夜長を、本とともに過ごす。すてきですよ。私は、ただひたすら、全国を講演で回っています。でも、列車や飛行機の中では、できるだけ本を読んでいます。
ところで、今、出版界が大変なことになっていることを、知っていますか。それは、電子書籍の問題です。今、数多くの本が、データ化され、電子書籍として、ネット上で販売されています。それを購入しすれば、自分の携帯電話やコンピューターで、読むことができ、保存することもできます。多分、みなさんは便利なことだと、喜んでいるかも知れません。本屋に本を買いに行かなくても、自宅で好きな本を手に入れ、読むことができる。しかも、通常の本のようにかさばりません。部屋の中に大きな本棚を置く必要もなく、必要なときに必要な本を読むことができます。でも、これには、問題はないのでしょうか。私は、たくさんの問題があると考えています。
みなさん、実は、本というのは、総合芸術です。私たち作家が、ただ文章を書いたからそれでできあがるというものではありません。編集者が、それを、読みやすいように、そして読者のこころに響きやすいように編集します。そして、次には、デザイナーが、そりを、デザインしていきます。活字の種類や大きさ、行間、ページ割り、それぞれを、決め、そして、写真やイラストを配置することで、さらに読者のこころに響くものに仕上げていきます。表紙のデザイン、帯、そして使用する髪の種類、色、厚さ、すべてを丁寧に決めていきます。作家の書いた、文章というデータに、想いを込めて色づけしていきます。そして、書店に並ぶ一冊の本が完成します。
どうぞ、書店で、何でも良いです。一つの本を手に取り、それをゆっくりと見てください。そこには、作家、編集者、デザイナー、写真家、そしてイラストレーターの想いがこもっています。これが、本当の本です。これが、実は、電子書籍には、ありません。
現在の段階では、電子書籍は、作家の文章というデータを、そのまま載せたものです。これは、論文の場合は、いいのかもしれません。しかし、物語や小説、ノンフィクション、エッセイや詩集の場合は。私は、あまりにも味気なく感じます。
みなさん、この秋、ぜひ総合芸術としての一冊の本を読んでみましょう。ただ、文章の内容だけではなく、そこに関わった人たちの汗と想いを感じながら。
追伸
私は、今日は神奈川県鎌倉市での講演、明日からは、また九州鹿児島県に行きます。土曜日曜と、4本の講演会を、鹿児島県各地で行って来ます。
